秋田ではまだ馴染みのないコーヒー製法「インフューズド製法」とアナエロビックナチュラル。秋田県に3店舗を構える自家焙煎コーヒースタンド「つなぐ珈琲」では2025年3月現在では、新作の新作のストロベリーフレーバーの「コロンビア キンディオ Strawberry インフューズド ハニー」と、3号店のラテ用に採用した「ベトナムロブスタランビアンアナエロビックナチュラル」で、このコーヒーの常識を覆す新しいコーヒーを楽しむことができます。
1. コーヒーの発酵とは?秋田の食文化とつなげて考える
コーヒーの精製方法ではよく、水を使用してコーヒーの種を取りだすウォッシュドや収穫したコーヒーチェリーをそのまま乾燥させる「ナチュラル」が主流となっております。その中で近年新しい精製方法が生まれています。それは、発酵の力を活用した「インフューズド製法」や「アナエロビックナチュラル製法」があります。実はこれらの製法、秋田の発酵食品であるいぶりがっこ、味噌、日本酒、納豆などと共通点があります。本記事では、秋田の発酵文化をヒントに、それぞれの精製方法を解説します。
2. インフューズド製法 × いぶりがっこ・漬物文化

▶ そもそもインフューズド製法とは?
コーヒーチェリーを発酵させる際に、スパイスやフルーツ、ハーブなどを加え、豆に特別な香りや風味を浸透させる精製方法のことを指します。
▶ 秋田の発酵文化との共通点
- いぶりがっこ:燻製の香りをじっくり大根に染み込ませる。
- 樽漬けの漬物(しょっつる漬けなど):発酵液に素材を漬け込み、深い味わいを作る。
- 共通点:「風味を浸透させる」という点で、インフューズド製法は秋田の漬物文化と似ている。
3. アナエロビックナチュラル製法 × 味噌や日本酒

▶ アナエロビックナチュラル製法とは?
コーヒーチェリーを酸素を遮断した密閉容器で嫌気性発酵させる方法。酵母や乳酸菌が活発に働き、フルーティーで甘みのある独特の風味が生まれる。
▶ 秋田の発酵文化との共通点
- 秋田味噌:密閉環境で発酵させ、濃厚な旨味を生み出す。
- 日本酒:酸素を制限しつつ発酵させることで、甘みやコクを引き出す。
- 共通点:「酸素を制限し、ゆっくり発酵させる」ことで、奥深い味わいが生まれる。
4. アナエロビックナチュラル製法と納豆の違い

秋田の発酵食品といえば納豆。しかし、納豆の発酵はアナエロビックナチュラル製法とは大きく異なります。
アナエロビックナチュラル | 納豆 | |
---|---|---|
発酵環境 | 酸素を遮断(嫌気性発酵) | 酸素が必要(好気性発酵) |
主な微生物 | 酵母・乳酸菌 | 納豆菌(枯草菌の一種) |
発酵の特徴 | ゆっくり進み、甘みや酸味が引き出される | 速く進み、強い粘りや独特の香りが生まれる |
味の変化 | フルーティーで甘みが増す | 旨味が強く、粘りが出る |
▶ 違いのポイント
- 納豆は酸素を必要とする好気性発酵だが、アナエロビックは酸素を遮断する嫌気性発酵。
- 納豆はたんぱく質を分解して旨味を作るのに対し、アナエロビックは糖分を活かしてフルーティーな香りを生む。
納豆とコーヒーのアナエロビック精製は「発酵の力で素材の魅力を引き出す」という点では共通しますが、発酵環境や味の変化はまったく異なります。
5. まとめ:秋田の発酵文化とコーヒー発酵の共通点・違い
▶ 共通点
- 発酵の力を利用して「味わいを変化させる」
- どの発酵食品も「ゆっくり時間をかけて旨味や風味を引き出す」
▶ 違い
- インフューズド製法=秋田の漬物のように「香りを染み込ませる」。
- アナエロビックナチュラル製法=秋田味噌やどぶろくのように「酸素を制限して深い味を生む」。
- 納豆は酸素を必要とする発酵で、発酵の仕組みが大きく異なる。
秋田の発酵文化をヒントにすると、コーヒーの発酵もより身近に感じられるかもしれませんね!
さらに日本酒と納豆、コーヒーで深掘り

日本酒 × アナエロビックナチュラル製法の共通点
🔹 酸素を制限した発酵環境
- 日本酒造りでは、もろみをタンクで発酵させる際に酸素を極力遮断し、酵母や乳酸菌の働きを活かす。
- アナエロビックナチュラル製法も、コーヒーチェリーを密閉タンクで発酵させ、乳酸菌や酵母を活性化させる。
🔹 酵母と乳酸菌の働きで複雑な香りが生まれる
- 日本酒は、酵母がアルコール発酵を進める過程で「吟醸香」と呼ばれるフルーティーな香りが生まれる。
- アナエロビックコーヒーも、発酵過程で「赤ワインのようなフルーティーな香り」や「甘み」が強調される。
🔹 温度管理が重要
- 日本酒は低温でじっくり発酵させることで、雑味を抑え、クリーンな甘みや酸味を引き出す。
- アナエロビックナチュラル製法も、温度管理によって味のバランスが決まる。
🔹 発酵時間による味の違い
- 日本酒は発酵期間を変えることで、スッキリした味からコクのある味まで変化する。
- アナエロビックも発酵時間が長いほど、酸味や甘みが強くなり、独特の風味が生まれる。
🍶「納豆より、日本酒の方がアナエロビック製法に近い!」
納豆は酸素を必要とする発酵(好気性発酵)なので、むしろインフューズド製法(香りを移す)に近いかもしれません。
一方、日本酒は酸素を制限した発酵(嫌気性発酵)で、アナエロビックナチュラル製法とほぼ同じメカニズムです。
✅ つまり、アナエロビックナチュラル製法のコーヒーを「日本酒のような発酵コーヒー」と表現するのはアリ!
日本酒の香りや旨味が時間とともに変化するように、アナエロビックコーヒーも発酵によって味わいが大きく変わるのが特徴です。