つなぐ珈琲

秋田のどこかの珈琲屋

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母であり、つくり手であり、ひとりの女性として。——“ちだのお菓子屋さん“が描く今。

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秋田のどこかで営業しているコーヒースタンドつなぐ珈琲大曲店の移転オープンから2ヶ月後に産休へ入り、約1年後にはお店に復帰。育児と仕事、そして自分らしさ。慌ただしい日々の中でも、どこか穏やかでやさしい空気を纏う彼女。母として、お菓子屋さんとして、今どんな思いで日々を過ごしているのか。つなぐ珈琲の常連様に長く愛される「男鹿の塩バニラビスコッティ」と「米粉ガトーショコラ」を手がける彼女に、その胸の内について、ゆっくりとお話を伺いました。

ちだのお菓子屋さん

秋田県大仙市出身。一児のママ。つなぐ珈琲の大曲店バリスタ兼焼き菓子を担当。
地元大仙市で、のんびりお菓子作りをしています。

母として、ちだのお菓子屋さんとしての決断。

初めて挑戦した2025年、ハロウィンギフト

——産休に入られたのは、いつ頃でしたか?

「去年の6月です。つなぐ珈琲大曲店が移転オープンしてからまだ2ヶ月ほどのタイミングで、私は妊娠10ヶ月目ぐらいでしたね。正直お休みに入るのが、“少し早いかな”という感覚でした。お店もようやく動き出したばかりで、お菓子作りの引き継ぎもしなければならず、“自分が休んだら誰が作るんだろう”という不安もありました。」

——なるほど。お店としても大事な時期だったんですね。

「そうなんです。なのでお休みに入ることに少し抵抗がありました。ただどうしても立ちっぱなしの作業が辛くなってきて。体調のことも考えると早めに決断する必要がありました。」


育休からの復帰。“家族と仕事”の新しい生活リズム。

つなぐ珈琲で人気の米粉ガトーショコラと男鹿の塩バニラビスコッティ

——復帰のタイミングはどのように決められたのですか?

育休中、お店が大変な時期に手伝いに行くことができない葛藤もあって、早く復帰したい気持ちが大きかったんです。なので今年の4月から保育園に通い、1ヶ月ほど慣らし保育をしました。そのタイミングでお店に復帰しています。」

——お店へ復帰後はどんな毎日でしたか?

気づいたら1日があっという間に終わっています(笑)子どもの支度と家のことを済ませてから、出勤前にお菓子の材料の買い出しをしてお店へ。退勤後はそのまま夕食の買い物をして、保育園へお迎えに行く、という流れです。家に帰ったらすぐ夕飯の支度、お風呂、寝かしつけまでが一気に過ぎていく感じですね。」

——なるほど。ぎゅっと詰まった毎日を過ごされているんですね…。

「そうですね(笑)1日24時間じゃ全然足りないです。家族にも協力してもらいながら、なんとか回しています。」


言葉ではなく、笑顔で通じ合える今が愛しい。

——お子さんとの時間はどのように過ごしていますか?

「最近は歩けるようになってきたので、天気の良い日は公園に行って芝生の上でシャボン玉をしたり、走り回ったりしています。」

——微笑ましい時間ですね。

子どもの笑顔を見ていると、自然とこちらも笑ってしまいますね。まだ会話ができるわけじゃないけど、話しかけると反応してくれたり、笑い返してくれたりして。子どもが覚えていなくても、私は忘れたくない、大切な時間だなと感じます。そういうやり取りができるようになってから、毎日がより豊かに感じられるようになりました。


母から子へ、受け継がれる愛のカタチ。

——お母さんになってから、ご自身の中で変わったことはありますか?

「たくさんありますね。以前のように“疲れたら休む”とか、“お腹がすいたら何か食べる”といった自分のタイミングでは動かなくなりました。今はすべてが子ども中心。自分のことが後回しになってしまうことの方が多いです。けれど旦那がお休みのときは、私のためにリフレッシュ時間を作ってくれて、お互いに趣味のライブ参戦などもできています。」

——身だしなみも自然と変わっていったそうですね。

「そうなんです。以前はスニーカーで動き回ることが多かったんですが、今は手を使わなくても履けるパンプスを選ぶことが増えました。あと基本はズボン。スカートに子どもが引っかかると大変なので、バホバホしないものを着ていますね。」

——親御さんへの思いにも、変化がありましたか?

「すっごくありました。子どもを育ててみて、あらためて“自分もこうやって愛されて育ったんだな”と実感するようになりました。親って本当に偉大ですね。母親としての日々を過ごす中で、感謝の気持ちがどんどん増していきます。


家族で過ごす時間に、やさしく寄り添う場所。

——お子さんとよくお出かけをするそうですね。

「そうですね。保育園のお迎え帰りに遊びに行くこともあります。遊び場では子ども同士がすぐ仲良くなるので、そこから自然と親同士の会話が生まれることもあります。何度か顔を合わせて“また会いましたね”と話しをして、そんな小さなつながりが嬉しいですね。」

——家族でお出かけするとき、“ここいいな”と思うお店のポイントはありますか?

「やっぱり“子連れに優しいかどうか”が一番ですね。座敷席や子ども用の椅子があるか、キッズスペースがあるかなどを見ています。今までのように静かなカフェなどはなかなか行けないので、家族でゆっくりできる場所を選ぶようにしています。」

——なるほど。子どもと一緒にゆっくりできる場所って、まだまだ貴重なんですね。

「そうですね。つなぐ珈琲大曲店はイートインスペースが座敷だったり、絵本を置いていたりするので、お子さん連れでのお出かけの選択肢が広がると嬉しいです。親子の時間に少しでも寄り添えるような、そんな存在になれたらなと思います。」

大人気だった、夏季限定の珈琲水羊羹

母として、そしてちだのお菓子屋さんとして。
子どもと過ごす穏やかな日々も、お店に立つ慌ただしい時間も、彼女にとってはどちらも愛おしい日常。
仕事と育児を両立させようと、彼女からは静かな強さとやさしさが滲んでいました。

この記事をインタビュー書いた人

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